ドローンがやって来た(04:救出)
子供達が白いベンチのある公園でボール遊び
「いくよ~」っと言って思いっきり蹴り上げる
「あっ!、引っかかっちゃった どうしよう」小学生5,6年生くらいの男の子が呟いた
「石投げつければ大丈夫だよ、ほら見てナ」と石を拾うお兄ちゃん
「あかんって、向こうに人がいるやんか!」
「そーか・・・・(^^;)」
「もう少し待ってみようか」
「そーだ、今日は風が強いから、しばらく待ってたら落ちてくるって・・・」
しばらく追いかけっこをして遊んでいた兄弟は「あ~ぁ、今日は諦めようぜ、毅! 帰るデ~!」
二人は後ろを振り向き振り向き帰って行った
そんな会話は聞こえる訳もないのだが、ゴミ出しに公園横を通りすがる小生
木に引っかかったバレーボールみたいなボールを見つけたのは翌朝のこと
地上からボールまで12,3メートルあろうか、引っかかったボールの周りには木の枝が茂り
とてもじゃないけど石ころを投げて落とすのはマー君でも困難
おまけによく見るとしっかり枝先がボールを抱えている
難題に直面するとなんとしても解決したくなるのは、長年サラリーマン生活で培った”ど根性”
少年達を助けたい気持ちではない、さりとて千円程度のボールが惜しい訳でもない
そこにあるのは単に”高い木の枝に引っかかったボールを何とかして落とす”という課題に直面しているということだけ
しかもその課題解決にはどうやら”情熱”を必要とするようだ
そんなたいそうなモノではないにしても、ここは何とか解決したい一心でテニスボールを捜すが、家の何処にも見当たらない
目に入ったのはドローン、そーだ”ドローン”がある
思い立ったら一目散、ドローンをどのように使って木枝からボールを救出するか
『UFOキャッチャーみたいにボールを掴み出す』これっきゃないね
なーんだ、簡単じゃん
1)ボールを掴むフォーク治具を作り、ドローンでフォークを運ぶ
2)ドローンを操作してフォークでボールを掴む
3)掴んだら上昇してボール救出!
なーんてマンガみたいな事はできない
だって持っているドローンは199gで無許可で飛ばせるタイプ
どんなにフォークを軽く作っても、このドローンがフォークを持ち上げれるとは思えない
軽く作れたとして、枝に挟まったボールを取り出すには相当な力も必要になる
そんな力は199gのドローンには無い
更にフォークを閉じる機構をリモコンで動かせる機能もドローンには無い
あーぁ、お・手・あ・げ
って諦めたらボーナス査定は”D(減給)”なのである
小さい頃からこれまで、小枝に引っかかったモノは”木を揺すぶって落とす”のが定石であり、且つ成功率は高い
素直に揺すぶればいいんだ!・・・・んで?
ボールの引っかかった木の幹は直径30cmもあろうか大木、幹を蹴って枝が揺れるようなひ弱さではない
「紐を枝に掛けて、人力で紐を引っ張り枝を揺すぶりボールを落とす」これだ (^_^)v
細い紐なら199gのドローンも運べる(はず)
でプランを絵に描くとこん(↓)な感じ
①紐(たこ糸)を運ぶ針金をドローンに取り付ける
②紐をドローンで吊してボールまで移動する
③ボールの真上まで来たら、枝めがけて紐を振り落とす
③ドローン退散、おもむろに紐を引っ張って枝を揺さぶりボールを落とす
さてさて、風も止んで(このドローンは風速8m以下で無いと制御できません)絶好の”ボール救出日和”
ドローン本体199g、針金6gとたこ糸20mが38gで総重量243gを果たして飛んでくれるのか?!
なーんてぶつぶつ言いながら、いざドローンに針金を取り付け、料理用たこ糸を過負荷無く・纏わらないよう紐の準備
が、ここで問題が
風が出てきた! テレビでは「極めて強い冬型の気圧配置となり真冬の寒さとなるでしょう」だと
等圧線はぎっしり詰まって強風を示している
こうなるとドローンは飛ばせない
明日も同じ天候のようでしばらくお預けなのである
気になるのは、せっかく準備した企画がおじゃんにならないかである
強風! そう下手するとその強風で枝が揺さぶられボールが落ちるのではないか?
目標と手段は定めたが、その課題達成を他人にかっさらって行かれるような心境で仕方なしに2日の間じ~っと待つ
いやじ~っと待ったのでは無い、寒い木枯らしの中、ボールはちゃんとあるか?と心配で何度か公園まで見に行っている
待った! 風が止むのを
そして止んだ、が庭の瓶には薄氷がはっている、寒い、ともかく寒い
しかし今しかない
ここ2日は夜も眠れず、頭の中はシュミレーションで一杯だ
よし目指すはあのた・い・ぼ・く・ぞ~(まるで忠臣蔵 (*_*)
そしてイザ、準備万端のドローンとタコ紐を持って白いベンチの公園に行く
と、
そのまえに、頭の中でシュミレーションしたのはこの情景
そして、その成果は
のはずだった!
『ない! ボールが無い』のだ
大木の枝に引っ掛かっているはずの赤いボールが・・・・・
よくみると、大木横の溝に落ちている、平然としかもこれがあるべき姿と言わんばかりに
そこにあるのは、あたかも子供が遊んだ後に片付け忘れられた赤いボールなのである
昨夜の暴風で木枝も疲れたのだろう
呆然とドローンを抱きしめて立ちすくむこと6秒
そうなりゃそうで後は模擬でやるっきゃ無い
また何時あるか分からないドローン救出劇に備えて、用意した企画書の実地検証をして
しっかり次にフィードバックすべくデータを取るのみ
と、6秒の後には、まーあっさりと”ボール無き救出劇”を再演することになる
主人公がいないため綺麗に撮影できなかったが、結果、主人公が居たら救出成功で幕を閉じたはず
でした m(_ _)m チャンチャン!
<念のため反省事項を残す>
■無風と思われても上空では4,5mの風は吹いている、風の下での操縦になれるべし
■紐の重さは38gでも、空中で紐が受ける風でその何倍もの負荷となると思うべし
■目標となる枝の大きさにあった針金の幅と、負荷に応じた針金強度を考慮すべし
(後にバインダー混みで17gの円筒アルミ(4×0.5)棒を使用した)
<更に、このドローンに感心した点>
●ドローンを高さ1.5mの位置フォバリングさせて、おもむろに紐を針金に掛けるのだが
操縦桿を手放ししてもなんと安定したフォバリング性能なことか
●ドローン前方に紐を取り付けて上昇するのだが、前方にだけ負荷がかかってもしっかり水平を
たもってくれる、なんと素晴らしい姿勢制御性能なことか
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二日後、”待てば海路の日和あり”とはこのこと
風も無く晴天、しかし寒い が、いざ!
/_/_/_/_/_/_/_/ もう一年も経ったので本稿を公開にしました (^_^;) 2023.1.12 今日も良い天気!