夫婦イサキ
いつまでたっても誕生日を祝われるのは嬉しいもの
御年97歳の渡邊光雄さんが感謝の挨拶に立つ
「やっと今年で114歳になりました 30発もの鉄砲弾を受けてなお、未だこうして祝っていただける時が来るとは思ってもみませんでした」
ご家族に聞いた話、昨年の誕生日には113歳と言っていたらしいのでつじつまは合う
いつもご自宅への送迎は車椅子、施設内では歩行器を使われる渡邊光雄さんが一人で椅子から立ち上がったのに駆け寄る者はいない
「陛下をお守りするため、アメリカ連邦軍を前にこの胸に打ち込まれた弾丸の数は実に97発」
米国って連邦国だったんだ!
これまでの97年が弾丸のように過ぎ去ってしまったと言いたいのだろうが、聞いているご利用者方の眉間は皺だらけだ
始まったばかりの挨拶は「最後になりましたが、いつまでもご夫婦一緒に健やかな日々をお過ごしください ありがとうございました」と括られる
そして元気よく椅子に座られる
取り巻きの職員もひやひやから安堵の顔立ちに変わる
時に歩行器を持ち上げたまま歩く姿を思い出すもほろ苦い